設立趣旨
本邦における全国的な臨床分離細菌に対する薬剤感受性調査は、かつてMEDISによって実施されていましたが、現在ではさらに詳細な患者情報を加え、国立感染症研究所を中心とした調査が実施されています。現在の測定方法は、自動機器の普及とともに、Breakpointのみの測定が一般化しており、データに不安を残す一因となっています。また、薬剤感受性測定に不可欠な精度管理,標準菌株の使用、培地の管理なども残念ながら,ほとんどの施設で実施されてはいません。
一方,海外では、SENTRY、ECOSENSなどの組織が世界規模の薬剤感受性調査を行っています。これらのSurveillanceでは感受性成績だけにとどまらず、特殊な耐性菌の耐性機序の解明や出現に関する貴重なデータを収集し,国際学会や学術誌に発表しています。米国では、CDCが地域毎の薬剤感受性Surveillanceを実施し、地域ごとの医療経済性まで含めた治療推奨薬剤に関する勧告を出しています。これらは、個々の感染症患者の治療におけるEmpiric therapyに役立つだけでなく、軽症の感染症であれば、細菌の分離同定、薬剤感受性試験の一部を省略することに科学的な根拠を与え、患者負担を含めた医療費節減にもつながると思われます。また地域別の国内データ(起炎菌の分離頻度ならびに薬剤感受性データ)は、今後の耐性菌の傾向を考える上で有用です。
本邦でも、対象疾患に的を絞った薬剤感受性調査研究会が組織されており,一箇所に臨床分離株を集めて、薬剤感受性測定を実施しており,データのみを収集する前者よりも優れたものとなっています。今後はこれをさらに発展させ、全国的な規模のSurveillanceが必要であると考えます。またデータに疑義が生じた際は、再測定可能で,感受性のみにとどまらず、ある程度の耐性機序の解明まで行える体制を確立する必要があります。以上をもって,本研究会を設立の趣旨といたします。