プレスリリース 2008年05月09日
−失明の主原因のひとつである疾病に対し、治療薬の有効性・安全性を評価−
独レバークーゼン、米ニュージャージー州モントビレ、ニューヨーク州タリータウン、2008年5月8日 ―バイエル ヘルスケア社とリジェネロン・ファーマシューティカル社は本日、失明の原因ともなる滲出型加齢黄斑変性症(wet AMD)の治療を目的とした、VEGF Trap-Eyeの第Ⅲ相臨床試験(VIEW2)で、最初の患者が投薬を受けたと発表した。
VIEW2(VEGF Trap-Eye: Investigation of Efficacy and Safety in Wet AMD)はヨーロッパ、アジア太平洋地域、日本、ラテンアメリカにおける200超の施設で実施され、約1,200人の患者を登録する予定である。最初の第Ⅲ相試験(VIEW1)は2007年8月、アメリカとカナダで患者の登録が始まった。VIEW1、VIEW2はいずれも、4週、または8週間隔で硝子体内への注射を行って、VEGF Trap-Eyeの有効性と安全性を検証するための臨床試験である。これらのプログラムの主要評価項目には、視力とともに、疾患の進行程度を示す網膜の厚さなど解剖学的な解析も含まれている。この治験は、wet AMD治療薬として世界で発売されている血管新生阻害剤Lucentis®(ルセンティス、一般名ラニビズマブ)との非劣勢比較が目的である。
滲出型加齢黄斑変性症(wet AMD)は、失明に至る重篤な加齢黄斑変性症(AMD)のおよそ90%を占めている。この疾患は、眼内部の異常な血管から、網膜内の黄斑へ血漿や血液が漏れたときに起こる。いったんこれが起こると、視野の中心部が急速に欠落するとともに、視力悪化の一途をたどる。
バイエル ヘルスケア社のグローバル開発担当責任者で、経営委員会メンバーのケメール・マリック博士は「第Ⅱ相試験の結果では、VEGF Trap-Eyeが有意に網膜の厚みを正常化させ、視力を改善する可能性があることが分かりました。今回の第Ⅲ相試験で、最初の患者さんが投薬を受けたことは、この重篤な眼疾患に苦しむ全世界中の何百万人もの患者さんにとって重要な前進になると思います」と述べている。
リジェネロン・リサーチ・ラボラトリーズの社長、ジョージ・D・ヤンコポロス博士は「wet AMDの患者さんは、新たな治療法を求めています。この第Ⅲ相国際共同治験では、VEGF Trap-Eyeを異なる用法用量で使用した場合の有効性と安全性についても、有用なデータが得られるでしょう」と述べている。
バイエル ヘルスケア社とリジェネロン社は共同で、wet AMDや糖尿病性眼疾患などの治療に向けたVEGF Trap-Eyeの開発をグローバル規模で進めている。承認後は、バイエル ヘルスケア社は米国以外の世界各国で発売し、リジェネロン社と利益を分配する。米国では、リジェネロン社がVEGF Trap-Eyeの独占販売権を持つ。VIEW2の主要な解析結果は2011年に得られる見込みである。
VIEW2について
VIEW2の1年目は、VEGF Trap-Eyeを4週間隔で0.5mg投与する群、同間隔で2.0mg投与する群、そして、8週間隔で2.0mg投与(ただし、開始後4週目には2.0mg 投与)する群に分け、VEGF Trap-Eyeの安全性と有効性を評価する。ラニビズマブ群の患者には、4週間隔で0.5mgを投与する。2年目は、患者に対する効果を診ながら、4週から12週の間で投与間隔を調整する。
主要評価項目は開始1年後、視力が維持されたVEGF Trap-Eye投与群の患者の割合で、ラニビズマブ群との比較を行う。視力は、糖尿病網膜症の早期治療を目的に作成された視力表(ETDRS視力表)のうち、正しく読めた文字の数で測定する。視力表のうち、見えなくなった文字列が3列以下(15字相当)に保たれた場合、視力は維持されていると判定する。副次評価項目は、ETDRS視力表で測った視力の治療前後の変化と、52週目において15文字以上多く読めるようになった患者の割合である。
第Ⅱ相臨床試験のデータ
第Ⅱ相試験は157人の患者を対象に行われ、データは2007年10月、ボストンでの網膜学会で発表された。それによると、VEGF Trap-Eyeの投与から12週間後に、主要評価項目および副次評価項目の両方、すなわち網膜の厚さ(疾患の進行程度を表します)の減少、および視力(視力表における識字能力)の改善がいずれも有意にみられた。
VEGF Trap-Eyeについて
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は、生体内に存在する天然のタンパク質で、一般的な役割は、新たな血管の形成を促し、生体内の組織や器官の成長を助けることである。また、滲出性加齢黄斑変性症の原因ともなる、眼球における血管の異常増殖と、その脆弱化にも関与している。VEGF Trap-Eyeは、完全ヒト型の可溶性VEGF受容体フュージョン蛋白で、VEGFファミリーであるVEGF-A、胎盤成長因子(PIGF)、VEGF-Bに結合する。VEGF Trap-Eyeは、これら増殖因子の特異的かつ高活性の阻害薬となる。VEGFの作用を阻害することは、血管の異常増殖や出血を押さえ、滲出性加齢黄斑変性症の治療に有効であることが知られている。
滲出性加齢黄斑変性症について
加齢黄斑変性症(AMD)は、後天性の失明の主要原因のひとつである。黄斑変性症は、dry(非滲出型)またはwet(滲出型)のいずれかと診断される。滲出型の場合、網膜直下での新生血管が異常形成され、血液や体液が滲み出す。この漏出が網膜の破壊と機能低下を引き起こし、視野中心に盲点を作る。これが、wet AMDで患者が失明する原因である。欧米では、Wet AMDは65歳以上における失明の主原因となっている。
バイエル薬品株式会社
2008年5月9日、大阪
Bayer Yakuhin, Ltd./Communications
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