プレスリリース 2008年02月01日

静脈血栓塞栓症のリスク研究結果 ランセット誌で発表

 【ウースター(米マサチューセッツ州)31日PRN=共同JBN】医学誌「ランセッ
ト」(注1)に31日発表されたENDORSE多国間研究(救急病院ケア設定における
静脈血栓塞栓症発症リスクの高い患者評価のための疫学国際デー)は、世界で(米呼吸器
専門医学会ガイドラインによる)静脈血栓塞栓症(VTE)に罹るリスクのある患者の有
病率の高いことが示され、外科患者の64%、内科患者の42%に対応して、調査対象と
なった入院患者の52%がVTEに罹るリスクがあることが分かった。
 ENDORSEはさらに、推奨される予防法は外科患者の59%、内科患者の40%に
対応して、世界中でリスクの高い患者の50%が処方されただけだと明らかにしている。
 6大陸にまたがる32カ国で、6万人余りの患者について行われた広範囲のENDOR
SE調査は前例がない。ENDORSEは広範な人種的、社会的、経済的、ヘルスケアの
環境で、VTEに罹るリスクの高い入院患者集団の広がりと、これら患者がどのように医
療管理されているかについて、ユニークな世界的、地域的実態を明らかにしている。
 この研究を指導したマサチューセッツ大学医学部の調査研究センター(COR)所長フ
レッド・アンダーソン博士は「ENDORSEは、入院患者のかなりの比率で研究に参加
した32カ国のそれぞれでVTEに罹病するリスクがあることを示している。VTEリス
クは世界的スケールで重大事であることをこれら客観的データが示しているにもかかわら
ず、推奨される予防法は最善ではない。これは複雑な問題であり、地域的あるいは国家的
教育、ガイドラインの作成、予防法の補償強化、すべての国でVTE予防をヘルスケア課
題に付加することなど、数多くの解決策が必要である」とコメントした。
 VTEは公衆衛生上重要な問題であり、救急内科、外科の病気で入院する患者の中で容
易に予防可能な病気である。深部静脈血栓症(DVP)と肺塞栓症はVTEでよく発現す
る病状であり、罹患率あるいは死亡率に顕著に関係する。
 ENDORSE運営委員会の共同議長であるアンダー・コーエン博士は、この研究をコ
メントして、「ENDORSEの所見は、入院内科、外科患者の中で証拠に基づくVTE
予防を完全に適用する患者の福祉と経済的恩恵の両面の予測ができることから、国家的な
ヘルスケアの観点から重要である。われわれが入院患者の結果を改善したいと望むなら、
VTEに罹るリスクの高いすべての外科、内科患者を特定し、VTEを防ぐ適当な予防法
の適用を向上させることが緊急に望まれる」と語った。
 VTE管理に関する国際的、地域的なガイドラインにもかかわらず、ENDORSEの
研究結果は、ガイドラインの事例と世界的な病院の設定との間にギャップがあることをは
っきり示している。VTE罹病リスクに関する関心の欠如と不確定要素が、このギャップ
を説明する主要な理由である(注2、3)。
 ENDORSE運営委員会の共同議長であるビクター・タプソン博士が特に指摘するよ
うに、「VTEは入院患者の大多数がVTEに罹るリスクがあることから、それは患者に
とって重要な安全問題であるとENDORSEは明白に示している。試験運用とガイドラ
インがごく最近のことである内科セッティングと比較して、長年予防法の恩恵を受け入れ
てきた外科セッティングにおける予防法の採用が増えていることは、特に内科患者への予
防法の恩恵についてますます医師に関心を持ってもらわなければならないことを示してい
る」

 ▽静脈血栓塞栓症(VTE)について

 静脈血栓塞栓症(VTE)は、血管を閉塞する血栓の形成を説明するため使用される一
般用語である。これは静脈系のどの部位にも発現するが、最もよくある症例は通常は脚部
に発現する深部静脈血栓症(DVP)と肺塞栓症である。
 VTEは、大がかりな外科手術もしくは重度の内科疾患で入院する患者に発現する共通
の合併症である。

 ▽ENDORSEについて

 ENDORSEは現在まで、VTEリスクとその予防措置を世界的に評価するため、世
界で無作為抽出された病院で行われた国際的研究である。患者は欧州、北米、南アフリカ、
中東、アジア、オーストラリア、北部アフリカ諸国など32カ国で無作為に選ばれた35
8病院で募集された。
 ENDORSEの主要目的は、世界中の代表的な病院に入院された患者の中で、VTE
に罹るリスクの高い患者を特定し、米呼吸器専門医学会(ACCP)による証拠に基づく
コンセンサスガイドライン(注2)の定義を使って、効果的なVTE予防法を受ける入院
患者のリスクの割合を決めることである。ENDORSEの2次的な目的は、VTEに罹
るリスクの高い内科、外科患者の世界的な割合を定義し、内科対外科の患者集団に適当な
予防を受けてもらう患者の全体的割合を定義し、国別、地域別に分析を実行することであ
る。
 この研究は、入院患者の2つのカテゴリー、すなわち40歳以上の内科病棟患者と18
歳以上の外科病棟患者が含まれていた。救急内科もしくは外科の患者を受け入れたすべて
の病院の病棟がこの調査の対象になり得た。

 ▽調査結果研究センター(COR)について

 調査結果研究センター(COR)は、ますます多くなる国家的、国際的な調査結果の登
録を科学的に調整するセンターである。CORの責務は、患者と医師の機密情報の保持、
データ収集手段の考案、データ管理、そして公表文集作成である。
 CORは米国立衛生研究所(NIH)の5カ年支援プログラムである「ウースター深部
静脈血栓症(DVP)研究」で副次的に1994年に開所したもので、医師が地域的、全
国的なベンチマークとともに自らの医療行為と成果に関する有効なデータが提供されるな
ら患者を管理する医療行為をもっと向上できることを実証した。

 ▽マサチューセッツ大学医学部(ウースター校)について

 マサチューセッツ大学医学部は、米国で最も急速に成長している学術的健康センターで
あり、世界クラスの研究機関としての評価を高め、一貫して臨床、基礎研究の特筆すべき
進歩を果たしている。同医大は年間1億7400万ドル余りの研究費を集め、その80%
が米連邦資金から提供されている。
 詳しい情報はhttp://www.umassmed.comまで。

 ▽ENDORSE研究資金

 マサチューセッツ大学医学部にある調査結果研究センター(COR)は、この作業を支
援する製薬会社サノフィ・アベンティスから無制限の補助金を供与されている。
 注:
(1) Cohen AT, Tapson VF and all. The Lancet Vol 371, 2008
(2) Goldhaber SZ, Tapson VF. Am J Cardiol. 2004;93:259-62.
(3) Anderson FA, Jr., Zayaruzny M, Heit JA, Fidan D, Cohen AT.
  Estimated annual numbers of US acute-care hospital patients at
risk for venous thromboembolism. Am J Hematol. 2007.
Sep;82(9):777-82.
(了)

▽問い合わせ先
Media, Alison M. Duffy,
Public Affairs and Publications of University of Massachusetts Medical School,
+1-508-856-2000,
alison.duffy@umassmed.edu
Web site: http://www.umassmed.edu

本リリースの詳細は http://prw.kyodonews.jp/press/release.do?r=200802014360

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