プレスリリース 2008年02月01日

COPD患者の70%が日常生活に支障 適切な診断と治療を受けていない実態が明らかに

気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の専門医のグループである、日本喘息・COPDフォーラム(JASCOM、事務局:東京都渋谷区)は、日本におけるCOPD患者の負担と疾患管理の現状を把握するため、2005年11月から2006年2月にかけて実施した全国大規模電話調査結果を発表した。この調査は、45歳以上で喫煙歴があり、COPD、慢性気管支炎、肺気腫のいずれかと診断されたか、慢性気管支炎に合致する症状を有することを条件として、総コール数28万回から抽出されたCOPDと推定される400名に対して行われた。

調査の結果、これら400名のうち、70%がスポーツや日常生活に何らかの制限があると回答しており、COPDが患者にとって大きな負担となっていることが明らかになった。COPDの主な症状である咳、痰、息切れがほぼ毎日ある人は、いずれの症状とも30%以上おり、これらの症状が続くことによって、日常生活に支障をきたしているものと考えられる。また、全体の約20%が、COPDの増悪(症状の急激な悪化)により入院や救急受診、予定外の受診を経験していた。

一方で、これほどのCOPDの症状を経験し、日常生活に支障がありながらも、全体の約50%はCOPD(慢性気管支炎、肺気腫を含む)と診断されていないという実態も明らかになった。この要因として、COPDは病変が徐々に進行する疾患であるため、症状が重篤であるという認識が患者にも、患者の周囲の人にも十分ではないために受診が遅れることや、受診してもプライマリ・ケア医の段階で適切に診断できていないことが考えられる。

COPDの主な原因は喫煙であり、一番の予防・治療は禁煙であるが、驚くべきことにCOPDと診断されている人の現喫煙者の割合は、未診断の方とほぼ同じ約35%と高率であった。つまり、COPDの治療と管理で最も重要とされる禁煙指導が十分に行われていないか、指導が効果的でないことが考えられる。

薬物治療に関しては、過去1年間にCOPDに対する薬剤を使用していたのは157名に過ぎず、その中でもCOPDの診断と治療のガイドラインで薬物療法の中心として推奨されている吸入気管支拡張薬(短時間作用型β2刺激薬、および坑コリン薬)の使用率は、診断されている人で9-15%、未診断の人では2-4%と、いずれも低いことが分かった。近年、特に長時間作用型吸入気管支拡張薬によってCOPD患者の臨床症状や生活の質(QOL)が改善することがわかってきているが、今回の調査結果は、多くの患者がこれらの治療の恩恵を受けていない実態が窺われるものであった。

この調査結果を発表した和歌山県立医科大学の一ノ瀬正和教授は次のように述べている。「COPDは、患者さんを消耗させる疾患です。日常生活が妨げられるような状態であるにもかかわらず、患者さん自身がCOPDであることを知らずに、適切な治療を受けることができないのは不幸なことです。また、これまでの数々の調査結果と同様に、このたびの調査でも、プライマリ・ケア医の段階において多くのCOPD患者さんが診断されずに放置されている実態が示唆されました。患者さんのQOL向上のためには、プライマリ・ケア医を中心とした第一線の医療従事者に対するCOPDの疾患啓発、つまり禁煙指導を含めたCOPDの適切な診断と治療に関するガイドラインの普及が急務であると考えます。」

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