「慢性腎臓病(CKD)ドクター認知度調査」治療法まで理解している医師は28.3%
新たな国民病 慢性腎臓病(CKD)
透析患者増加の抑止に求められる医師間の連携

日本慢性腎臓病対策協議会(略称:J-CKDI、事務局:東京都文京区、理事長:菱田明)は、国内の医師205名を対象に行なった、慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)に関する認知度調査の結果を公表した。(2007年7月26日)

慢性腎臓病(CKD)(注1)は、糖尿病や高血圧などと同様、慢性疾患のひとつで、腎障害の存在が明らか、または慢性的に腎臓機能が低下した状態を指す(注2)

近年の研究成果により、「不治の病」といわれていた腎臓病も、早期発見による適切な治療が行なわれれば、腎機能の低下を長期間にわたって抑制することができ、従来は透析治療の導入に至っていたような症例でも、ケースによっては透析を回避できるようになったきた。

このことは、最初に患者さんを診療する地域のかかりつけ医と、専門知識を有する腎臓専門医のスムースな診療連携(病診連携)によって、多くの患者さんの透析導入を防ぎ得ることを示している。しかし、慢性腎臓病(CKD)対策の重要性については、医師間における認知も未だ不十分な段階であり、急増する透析患者の増加防止のため、医師が慢性腎臓病(CKD)を早期に診断する方法、腎臓専門医に紹介すべきタイミング、腎臓専門医との病診連携システム構築など、今後の対策と啓発が強く望まれている。

日本腎臓学会では、第50回日本腎臓学会学術総会(2007年5月、静岡県浜松市開催)において、国内初の慢性腎臓病診療指針である『CKD 診療ガイド』を一般医向けに発表し、医療界全体への知識普及に向けた新たな一歩を踏み出した。この中では、慢性腎臓病(CKD)を早期に診断するため、尿検査を行い、血清クレアチニンをもとに腎機能を推算GFR(eGFR:腎機能評価の指標)で評価することが推奨されており、具体的に腎臓専門医に紹介すべきタイミングや腎臓専門医との病診連携についても示されている。

今回の調査は、「ガイド」発表に先立ち、医師の間で慢性腎臓病(CKD)がどれだけ浸透しているかを明らかにする目的で行なわれた。得られた主要な結果と対策は以下の通り。

1. 慢性腎臓病(CKD)の単純認知率(名前を知っている)は医師全体の約6割
CKDと持続的にかかわる可能性の高い医師における単純認知率(名前を知っている)は約7割と高くなっているが、その中でも定義・原因・治療方法まで知っている医師は全体の約3割強しかおらず、啓発を要する。
2. 腎機能低下の指標の一つである血清クレアチニン値の評価については意見がバラバラ
血清クレアチニンの基準値は正確に腎機能を表すものではない。
患者、かかりつけ医が簡単にわかる腎機能評価の指標が必要。
→推算GFRの一般医への普及・導入が望まれる
3. かかりつけ医と専門医の医療連携が重要だと考えている医師は9割以上
わかりやすい腎機能評価の指標を用いて、かかりつけ医が専門医と連携を取りやすくする必要がある。

注1 2002年に米国腎臓財団(NKF)がはじめて提案した新しい疾患概念。2004年にはCKDの全世界的なコンセンサスを得るためにKidney Disease : Improving Global Outcome(KDIGO)の国際的ワーキンググループが組織され、世界的な啓発が本格化した。2005年、日本においても日本腎臓学会が学術総会にて日本人に適合的なGFR推算式を発表し(2007年に修正あり)、国内にもCKD対策の必要性が知らされ、啓発活動が開始された。

注2 正式には(1)尿蛋白陽性など腎疾患の存在を示す所見が3ヶ月以上持続する、もしくは(2)腎機能低下(糸球体濾過量)が60mL/min未満が3ヶ月以上持続する、以上のどちらかの要件を満たしている場合、慢性腎臓病と診断される。