ポスターセッション:

アテローム性動脈硬化症(臨床)

頸動脈IMTに及ぼすスタチン、Ca拮抗薬、RAS抑制薬の抗動脈硬化作用の比較:メタアナリシス

京都大学大学院医学研究科循環器内科学
由井 芳樹

頸動脈内膜中膜肥厚(IMT)の測定は臨床的に動脈硬化の指標として使用されている。一般に、動脈硬化の進展抑制に対しスタチンやレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬の効果が期待されているが、近年Ca拮抗薬においても降圧とは独立した抗動脈硬化作用を有することが報告されており、CAMELOTやJMIC-Bなどの大規模臨床試験から、Ca拮抗薬の抗動脈硬化作用はACE阻害薬よりも強いことが示唆されている。そこで由井氏は、これら3剤の抗動脈硬化作用を定量的に評価するため、頸動脈IMTを指標として、各薬剤による退縮効果をメタアナリシスによって検討した。

1年以上の無作為化比較臨床研究のメタアナリシスから頸動脈IMT退縮効果を検討

採択試験の基準は、PubMedおよびCochrane Libraryを用い、無作為化比較臨床試験で、かつ各薬剤を投与しIMTの変化を1年以上追跡したものとした。その結果、Ca拮抗薬から7試験(3,320例)、RAS阻害薬から4試験(1,974例)、スタチンから8試験(3,233例)が採択された。なお、Ca拮抗薬では、ELSA、ELVERA、INSIGHT、MIDAS、PREVENT、Stanton AV et al、VHASの7試験が対象とされた。

メタアナリシスはCochrane Collaboration Review manager package(RevMan 4.2)を、データの統合はrandom effect modelの加重平均差を、統合結果の比較はZ検定を用いて行った。また、Ca拮抗薬およびRAS阻害薬投与後の血圧値、スタチン投与後の血清脂質値の比較にはpaired t-testを用いて検定した。

Ca拮抗薬の頸動脈IMT退縮効果はスタチンに匹敵

メタアナリシスの結果、頸動脈IMTの1年あたりの変化量は、Ca拮抗薬群ではプラセボを含む他の治療群と比較して平均-7.68mm(95%信頼区間:-10.46〜-4.90)、スタチン群ではプラセボ群と比較して-7.27mm(95%信頼区間:-12.34〜-2.2)とそれぞれ有意な退縮が認められ、両薬剤の頸動脈IMT 退縮効果は同等であった。Ca拮抗薬群では対照をプラセボあるいは利尿薬群(5件)、プラセボ群(2件)としても結果は同様であった。しかし、RAS阻害薬群ではプラセボ群と比較して頸動脈IMTの1年あたりの変化量は-4.28mm(95%信頼区間:-10.53〜1.98)と有意差は認められなかった。なお、これら3剤の頸動脈IMT変化量には有意差は認められなかった。

降圧レベルはCa拮抗薬群では他の治療群と比べて収縮期、拡張期ともに有意差は認められなかったが、RAS阻害薬群ではプラセボ群と比較して収縮期血圧が有意に低かった。また、血清脂質はスタチン群ではプラセボ群に比べて有意に低下していた。

以上の結果から由井氏は、Ca拮抗薬、RAS阻害薬、スタチンは、作用メカニズムは異なるが、いずれも頸動脈IMTの退縮効果が期待され、中でもCa拮抗薬の効果はスタチンに匹敵することが示唆されると結論した。

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