ポスターセッション:
アテローム性動脈硬化症(基礎)
ニフェジピンはPPARγを介するCu/Zn SODのアップレギュレーションにより酸化ストレス産生を抑制する
- 山口大学大学院医学系研究科器官制御医科学
- 橋本 亮氏
ACTION研究において、ニフェジピンは降圧作用とは独立した動脈硬化性疾患の抑制効果を有することが示されているが、その機序は明確ではない。また、動脈硬化においては、核内受容体であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)および活性酸素種のスカベンジャー酵素であるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の関与が示唆されている。橋本氏らは、ニフェジピンはPPARγを介するCu/Zn SODのアップレギュレーションによって酸化ストレスを低下させることで血管リモデリングを抑制し、動脈硬化の進展を抑制するとの仮説を立て、検証を行った。
ニフェジピンによる動脈硬化の抑制効果を確認
脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)を、溶媒投与(SHRSP)群、低用量ニフェジピン(1mg/kg/日)投与(ニフェジピン)群、低用量ニフェジピンに選択的PPARγ拮抗薬であるGW9662(1mg/kg/日)の併用投与(GW9662)群に割り付け、さらにSHRSPの正常血圧対照ラット(WKY)群を加えた4群を対象とした。各群20匹とし、4週間の飼育後、比較検討を行った。
循環動態の指標として収縮期血圧を測定したところ、試験期間を通じSHRSP群、ニフェジピン群、GW9662群の3群はWKY群よりも有意に高かったが、3群間に差は認めなかった。また、左室重量/体重比は、WKY群に比し他の3群で有意に高かったが3群間に差はみられず、左室肥大に対する薬剤の影響は認めなかった。
血管リモデリングの指標である心筋内細動脈のWall/lumen(壁/内径)比は、WKY群に比しSHRSP群で有意に高かったが、ニフェジピン群ではWKY群と同等にまで改善していた。一方、GW9662群では、改善が認められなかった。血管周囲の線維化および血管平滑筋の形質転換についても、同様にニフェジピン群において改善効果が認められたが,GW9662群では認められなかった。この結果から、ニフェジピンは血管のリモデリングや線維化など、動脈硬化の進展を抑制し,その効果はGW9662により相殺されることが示唆された。
ニフェジピンの動脈硬化抑制作用にはPPARγを介するCu/Zn SODのアップレギュレーションが関与か
次いで、橋本氏らはスーパーオキサイドの産生についてdye Hydroethidine(DHE)染色法で評価したが、SHRSP群およびGW9662群において、有意な産生増加が認められたが、ニフェジピン群では認められなかった。そこで、Cu/Zn SODの発現と活性、およびPPARγ活性について検討したところ、ニフェジピン群で有意な発現および活性亢進が認められたが、GW9662群では認められなかった。
その他の酸化ストレス関連酵素であるカタラーゼ、グルタチオンぺルオキシダーゼの発現、およびeNOSの活性についても検討したが、これらに対するニフェジピンの影響は認められなかった。
これらの結果に基づき、橋本氏は「ニフェジピンには降圧作用とは独立した動脈硬化の進展抑制作用を有することが明らかとなった」と結論し、「その作用はPPARγを介するCu/Zn SODのアップレギュレーションによることが示唆される」と述べた。



