第51回日本腎臓学会学術総会
2008年5月30日〜6月1日 福岡
CKDスクリーニング・早期発見―特定健診との関連

- 渡辺毅氏(福島県立医科大学第三内科、腎・高血圧内科、糖尿病・内分泌・代謝内科)
慢性腎臓病(CKD)の定義のポイントは、尿蛋白と糸球体濾過量(GFR)低下であると考えられる。疫学研究の結果からは、わが国における蛋白尿の有病率は約3.5%、患者数は500万人弱になると推定される。CKDが末期腎不全や心血管イベントと強い相関を有することはいうまでもない。また、CKDの発見率向上には、検尿とGFR推定の2つを組み合わせた健診が必要になる。現時点の推計では、CKDの患者数は1,380万人にのぼり、今後これらの患者をいかに補足し治療するかは、わが国の医療における課題の1つである。コホート研究では、スクリーニングでCKDを効率的に発見できる集団は、糖尿病、高血圧、55歳以上のいずれかであることが示された。すなわち、生活習慣病を有する壮・高齢者を検診の対象とすべきである。
CKD患者への介入効果について、複数の臨床試験の結果を集計すると、介入により微量アルブミン尿の段階(CKD1)では患者の約50%が、持続性蛋白尿の段階(CKD1〜3)でも患者の30%が、寛解に至ることが期待できる。しかし、現在CKDに関連したイベントは増加しており、その背景の1つに、腎疾患の健診受療率が糖尿病の30%、高血圧の22%に比べて10%程度と低いことがあげられる。
このため、今年度から施行された特定健診・特定保健指導制度への期待が高まっている。同制度は、一次予防重視、受診勧奨など優れた特性を持つ一方で、メタボリックシンドロームが主な対象であり、必須検査項目に血清クレアチニンが含まれていないなど、CKD補足に関しては不十分と考えられる。そこで、この制度の中にCKD対策を組み入れることを目指し、日本腎臓学会では「日本腎臓学会検尿検証委員会」を設置し、研究を開始した。今後とも、CKD関連疾患の健診受療率と検査値異常者受診率の向上のため、一層の啓発活動と、保健指導システムの拡充が望まれる。