第51回日本腎臓学会学術総会
2008年5月30日〜6月1日 福岡
CKD対策における脂質代謝異常管理の意義(オーバービュー)

- 木村健二郎氏(聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科、腎臓病センター)
慢性腎臓病(CKD)は、腎の構造的、機能的異常によるもので、その病態の特徴を要約すると、微量アルブミン尿/蛋白尿陽性、糸球体濾過量(GFR)推算値<60mL/min/1.73m2となる。CKDは末期腎不全(ESRD)のリスク因子であるばかりか、心血管疾患(CVD)発症にも関与するという点で非常に重要な疾患の1つである。そこで、CKDと脂質代謝がどのように関連するかについて概観する。
従来の概念による慢性腎疾患には、IgA腎症、膜性腎症、間質性腎症などの狭義のCKDと呼んでよい病態が含まれる。これらは、病初期の微量アルブミン尿、蛋白尿を特徴とし、病態の進行に伴いGFRが低下してESRDに至る。さらにCKDの概念では、ESRDに加えてCVD発症のリスクも増加することになる。この背景には、GFR低下により血圧上昇、酸化ストレスや炎症の亢進が惹起され、動脈硬化が進展すること、CKDにより惹起されるCaとPの代謝異常、貧血による心機能低下によりCVDのリスクが増加するとこと、など機序が存在すると思われる。脂質代謝異常もまた、CVDの重要なリスク因子であることは周知のことである。
CKDにおける脂質代謝異常の位置づけを考察すると、腎疾患そのもの、すなわちCKDやGFR低下が脂質代謝異常のリスク因子となる可能性があり、一方では脂質代謝異常もまたlipid nephrotoxicityによって直接あるいは動脈硬化を介して間接的に腎機能を低下させ、CKD発症のリスクを上昇させる恐れがある。さらに、加齢、高血圧、喫煙、肥満、糖代謝異常はCKDと脂質代謝異常に共通するリスク因子である。
以上のように、脂質代謝異常はCKDの病態にとって重要な要素の1つである。今後のさらに研究を進めることより、これら2つの病態の関連性が解明され、治療エビデンスが構築されることを期待したい。