臨床ポスター:「コンプライアンス・医療経済」

高血圧治療の費用対効果:本態性高血圧患者に対するニフェジピンCRとARBの併用療法−NICE Combi Studyの結果から−

ニフェジピンCRとアンジオテンシンII受容体拮抗薬の併用が降圧効果、医療経済性ともに優れる

バイエル薬品株式会社開発部門 藤川慶太氏
旭川医科大学第1内科 長谷部直行氏ら

現在では、薬剤を用いた積極的な降圧療法が高血圧患者の心血管疾患の予防・予後改善に有効であることが明らかにされている。このため、各国の高血圧治療ガイドラインでは厳格な降圧目標値が設定されており、その達成のためには降圧薬を併用することが多く、JSH2004でも、カルシウム(Ca)拮抗薬とレニン-アンジオテンシン(RA)系を中心とした併用療法が推奨されている。また近年では、医療経済性への社会的認識が高まりつつあるが、わが国では未だ十分な検討は行われていない。そこで藤川氏らは、先ごろ報告されたNICE Combi Studyのデータを解析した結果、長時間作用型Ca拮抗薬ニフェジピンCRとアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の併用が、降圧のみならず、医療経済性にも優れることを明らかにした。

NICE Combi Studyからその費用対効果を算出

NICE Combi Studyは、通常用量のARBによる8週間の治療で降圧目標に達しなかった本態性高血圧患者258例を、ニフェジピンCR 20mgを併用する群(以下ニフェジピンCR併用群)とARBを増量する群(以下ARB増量群)に割り付け、両群の降圧効果を比較した無作為化二重盲検試験である。

その結果、ニフェジピンCR併用群において優れた降圧目標達成率が得られたことはすでに報告されている(Journal of Hypertension 2005; 23: 445-453)。今回、藤川氏らは、同試験で回収した症例調査票をもとに、薬剤、外来治療、検査および副作用治療に要した医療費を算出し、8週間の二重盲検治療期における両群の費用対効果を比較した。

ニフェジピンCRの併用は “dominant(効果が高く、かつ経済性にも優れる)”な降圧療法

その結果、ニフェジピンCR併用群に比べARB増量群では薬剤費、副作用治療費がやや高額となり、8週間における一人あたりの総医療費はそれぞれ2万9,943円、 3万3,182円と、併用群で3,239円安価となった。治療目標達成率は、収縮期血圧を指標にすると併用群が28.5%、増量群が17.2%、拡張期血圧を指標にすると併用群40.8%、増量群27.3%と、いずれも併用群で有意に高かった。

さらに患者一人を治療目標値に到達させるために必要な費用は、収縮期血圧を指標にすると併用群が10万5,063円、増量群が19万2,916円、拡張期血圧を指標にすると併用群が7万3,390円、増量群が12万1,544円と、やはり併用群で安価な結果となった。

以上の結果から藤川氏らは、ニフェジピンCRとARBの併用は、高用量のARBへの増量に比べ、”dominant”な降圧療法と考えられると結論づけるとともに、併用療法を行うことで医療保険システムへの負担を軽減できる可能性が示唆されると提言した。