一般臨床演題:「診断」

保存期腎不全患者における家庭血圧測定の意義と降圧薬療法の実態について−保存期腎不全研究会−

血清クレアチニン値≧2.0mg/dLの保存期腎不全例の降圧治療では、長時間作用型Ca拮抗薬とA-II受容体拮抗薬の併用が望ましい

東京女子医科大学 第4内科 湯村和子氏

保存期腎不全の治療目的は、腎機能障害の進展を抑制して透析の導入を遅延させることである。腎不全例の多くは高血圧を合併するため、降圧薬による血圧コントロールが重要である。また、保存期腎不全例では早朝および夜間に高血圧を呈することが知られ、腎機能の保持には尿蛋白が1g/日以上の場合は収縮期血圧(SBP)120mmHg/拡張期血圧(DBP)80mmHg以下にコントロールすべきとの報告もある。湯村氏は、腎臓専門医による保存期腎不全における高血圧の管理状況を明らかにするために、保存期腎不全例の家庭および外来の血圧を測定、高血圧の管理状況と腎機能との関連性について検討を行った。

家庭血圧、外来血圧のcut-off値に基づき4群に分けて検討

対象は腎臓内科専門医にて加療中の高血圧を合併した保存期腎不全158例。家庭血圧のcut-off値をSBP 135/DBP 85mmHg、外来血圧のcut-off値をSBP 140/DBP 90mmHgとして、管理良好群、管理不良群、白衣高血圧群、家庭高血圧群の4群に分けて各群の臨床的特徴を検討した。

患者背景は、平均年齢63.5±13.5歳(21〜97歳)、男性率58.9%で、蛋白尿が61.2%、血尿が27.9%、糖尿病合併が24.0%、高脂血症合併が36.1%、高尿酸血症合併が48.7%、肥満(BMI≧25kg/m2)が24.0%にみられた。また、平均血清クレアチニン(Scr)値は 2.36±1.54mg/dL、平均クレアチニンクリアランス(Ccr)値は38.93±23.54mL/分であった。

Scr≧2.0mg/dLの症例では早朝高血圧が高率に検出され、Ca拮抗薬の使用率が有意に高い結果に

保存期腎不全においては、朝の収縮期高血圧が33.1%、夜間の収縮期高血圧が27.0%に認められ、これは外来における高血圧の検出率よりも有意に高かった(p<0.0001)。特にScr≧2.0mg/dLの症例では朝の収縮期高血圧が50.7%とさらに高率となり、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症の合併を高頻度に認めた。

降圧薬の使用状況は、Scr≧2.0mg/dLの症例の85.3%が2剤以上を併用、長時間作用型カルシウム(Ca)拮抗薬が77.8%、アンジオテンシンII(A-II)受容体拮抗薬が75.0%で使用されており、Ca拮抗薬の使用率はScr<2.0mg/dLの症例に比べ有意に高かった(p<0.05)。

これらの結果から湯村氏は「Scr値が2.0mg/dLを越える場合は、特に朝の収縮期高血圧に留意した厳格な血圧コントロールが必要であり、長時間作用型Ca拮抗薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬の併用が望ましい」と結論、「今後は、Ca拮抗薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬併用時の夜間および睡眠中の血圧管理状況を把握するために、24時間連続血圧測定による検討が必要」と提言した。