Poster Session

Stimulation of Soluble Guanylate Cyclase Affects Cardiac Fibrosis in Angiotensin II-Induced Hypertensive Rats

可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激により心筋線維化が抑制

宮崎大学医学部内科
加藤 丈司

細胞内情報伝達物質であるcGMPは、一酸化窒素(NO)の刺激を受けて血管を拡張させて血流を増やすなど、心血管系にとって有益な作用を示すといわれるが、cGMPを生成する酵素であるグアニル酸シクラーゼの心血管系に及ぼす影響については不明の部分が多い。加藤氏は可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の心筋線維化に対する効果を検討した動物実験の成績を報告し、sGCの刺激でアンジオテンシンIIにより誘発される心筋線維化が著明に抑制されることを明らかにした。

アンジオテンシンIIによる血圧上昇、心筋線維化を抑制

試験薬として、心筋線維化促進作用をもつアンジオテンシンIIとsGCに対し直接刺激作用を示すBAY41-2272を用いた。8週齢のWisterラットを6群に分け、それぞれに次のように試験薬を投与した。

1)薬物非投与(コントロール)、2)低用量BAY41-2272(2mg/kg/日)、3)高用量BAY41-2272(10mg/kg/日)、4)アンジオテンシンII(250ng/kg/日)、5)アンジオテンシンII+低用量BAY41-2272、6)アンジオテンシンII+高用量BAY41-2272。薬物は2週間にわたり継続投与し、血行動態および心筋線維化に関係する諸指標の変化を検討した。

その結果、高用量BAY41-2272はアンジオテンシンIIによる血圧上昇を抑制したが、低用量BAY41-2272は昇圧抑制作用を示さなかった。一方、アンジオテンシンIIは冠動脈周囲における線維芽細胞を有意に増加させたが、これを高用量BAY41-2272は77%、低用量BAY41-2272は74%とほぼ同程度に抑制し、効果は有意であった。

また、アンジオテンシンIIのみを投与されたラットの冠動脈周囲および心筋間質ではコラーゲンの蓄積量が著明に上昇したが、高用量および低用量のBAY41-2272により有意に抑制された。アンジオテンシンIIは左室の1型コラーゲンmRNAおよび腫瘍増殖因子(TGF)β-1mRNAの発現も亢進させたが、これも高・低用量のBAY41-2272により著明に抑制された。また、アンジオテンシンIIは左室心筋のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-2活性を著明に上昇させたが、高用量BAY41-2272は、この変化を有意に抑制した。なお、BAY41-2272はアンジオテンシンII投与の有無にかかわりなく左室組織のcGMP濃度を有意に上昇させ、かつその効果は用量依存性であった。

sGCの線維化抑制効果は降圧に依存しない直接的な効果よりも著明

加藤氏らは上記の実験のほか、生後1〜2日のラットの心筋から分離した線維芽細胞を培養、BAY41-2272を投与して細胞内cGMP濃度の変化を観察したが、cGMP濃度は用量依存性に上昇した。また、アンジオテンシンII(1μmol/L)は培養線維芽細胞へのチミジン取込みを著明に促進したが、0.5〜10μmol/LのBAY41-2272はこれを有意に抑制、特にその効果は5μmol/L以上で著明であった。

以上の成績から、sGC刺激はアンジオテンシンIIによって誘発される高血圧に対しては部分的にしか抑制しなかったものの、心筋線維化を強く抑制することが明らかになった。その効果の少なくとも一部には、降圧に依存しない機序が関与している可能性があり、加藤氏は、今後BAY41‐2272のようなsGC刺激作用を有する薬剤の臨床応用への可能性が期待されると述べた。